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虹の空へ

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「エレンディラ」

c0063587_17312157.jpgもう2週間も以上経ってしまったけど(汗)
9月17日に「エレンディラ」大阪公演千秋楽を観てきました。

埼玉公演を観た友からの「ゼッタイ気にいるからー!」という
強力プッシュ(笑)もあり、土壇場で見つけたチケットは
シアターBRABA!の2Fのセンター2列目。
舞台全体を見渡せて照明や仕掛けの全部が見られる席でした。
開演前からのロビーでの演奏も生大道芸人ぽくてよかったです。

もう観る前から期待で胸イッパイ。
前日までのジェイミー祭も小休止で、どっぷり4時間浸ってきました。
4時間ってのにも驚くけど、3幕もあるって。
どんだけーーーー!(笑)
でも、長さはまったく感じなかったよ。

映画「エレンディラ」は、残酷なストーリーなのにキレイで幻想的な
映像が好きでした。
砂と風のある風景の印象から、勝手にモロッコあたりの話かと思いこんでたら
南米が舞台なんですね。そこに暮らすワユ族の血を引く人たちの話。
へんてこりんでもの悲しくて、どこからどこまでが現実でどこからが夢なのか。
ファンタジーにしては生々しくて残酷な現実もあり。
そういう残酷さを幻想的な美しさでより際だたせる。
そういうのが大好きです。

〈あらすじ〉埼玉県芸術文化振興財団公式より

砂漠に吹く風、男達の行列、人々が広場に集まり、祭りが始まる。
その時、世界の中心で待ち望まれた奇跡の娘が現れる。
その名はエレンディラ

過失から祖母の家を全焼させてしまった少女エレンディラは、その責任をとるため
祖母により、娼婦として1日に何人もの客を取らされている。その美しさから、
瞬く間に男達の人気を集めていたエレンディラだったが、ある時、彼女は
本当の愛を誓う美青年ウリセスと出会う。2人は祖母からの脱出を試みるが、
あっさりとつかまってしまう。祖母から逃げるには彼女を殺すしかないと考えた
2人は、それを実行しようとするが・・・




オープニングのオーガンジーのように薄くて透けるボロボロの幕。
その幕が揺れ、風が吹いていることがわかる。
幕の向こうに大きな人面魚やバスタブが飛ぶのを見て、思いきり
テンションが上がるワタシ。
ステキーーー!こういうの、大好き!
視覚にストレートにグングン迫ってくる好きな感じ。
といっても、最初に飛んでた白いデカイ物体がダイヤモンドだとは
そんときはわからなかったんだよね。不覚(汗)

最初から、そして何度も劇中で繰り返される繊細でマイナーなナイマンの曲。
このピアノの旋律がもの悲しくて美しい。
舞台上で繰り広げられる悲しく、少し滑稽で、だけど純粋な恋人達の物語に
ぴったりです

そして、登場する翼を持つ男。
ワタシは最初、横たわってるこの人を見てヒトじゃないと思ってた。
翼を傷つけられうちひしがれた白鳥(の模型)だと思ってたんですね。
首が長くて、ぐったりしてて、ほんとに鳥に見えた。
なのに、ちゃんと動き出してビックリ。
その存在自体がこの不思議な物語を象徴してる気がして、すっかり
物語に入り込むワタシ。
その年老いたヨレヨレの男が舞い上がって、そして若者(ウリセス)に
なるシーン。
時がさかのぼり、老人が美しい若者になる。
その無情さにちょっとジーーンと来る。

場面転換して、おばあちゃん(瑳川哲朗さん)とエレンディラ(美波ちゃん)が
暮らすお屋敷。
あれも好きだ~。
これまた透ける幕の後ろにあるおとぎ話に出てくるような部屋の中。
けばけばしくて、でも可愛くてこちゃっとしてて。
そのお屋敷に疲れ果てた少女と巨体のおばあちゃんが居る風景がねぇ。
物語の残酷さとは裏腹に、ほんとにおとぎ話の世界のようです。

おばあちゃんの言いなりに、働きながら眠ってしまうほどに
こき使われてるエレンディラ。
もう感情のスイッチは切ってるらしく、なにを言いつけられても
「はい、おばあちゃん」と機械的に答えるエレンディラ。
このエレンディラを美波ちゃんは、前屈みの姿勢で気力も何も残ってない
様子を表現してます。
上手いよ、美波ちゃん。
ここで一気に美波ちゃんファンに(早っ)
エレンディラは巨体のおばあちゃんをバスタブに入れ、洗ってあげて寝かせる。
眠りこんでからもばあちゃんは寝言のように用事を言いつける。
そして、極度の疲れからエレンディラはお屋敷を蝋燭の火で全焼させてしまう。
この火事の真っ赤なシーンも凄かった。照明を使って、ほんとに燃えてる
ように真っ赤。
思わず息を呑む迫力でした。

それからエレンディラのさらなる地獄が始まる。
各地を渡り歩いて、少女のエレンディラに客をとらせ、火事の弁償させる
おばあちゃん。人でなしです(汗)
でも、このおばあちゃん、白鯨と呼ばれるその巨体のせいか
(でかい肉襦袢のような物を着ている)、瑳川さんのチカラなのか
ヒドイことをしてるんだけどそれほど憎めない。
カリスマ性があってチャーミングにも見えます。
これが憎らしいだけの存在だったら、この物語もそれほど魅力が
あったかどうか。
カテコでも瑳川さんはひときわ大きな拍手をもらってました。まさに怪演。

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エレンディラにとっては辛い全国行脚だけど、音楽隊や大道芸人を
引き連れた隊列の行進は、これまたワタシが大好きなシーン。
 ↑コレです(エレンディラオフィシャルブログより)

ああ、幻想的。
この絵を見てゼッタイ見なくちゃと思ったんですよね。
女王様のように椅子に載せられたまま運ばれるおばあちゃんと
傘をさしかけながらうなだれて歩く疲れ果てたエレンディラ。
悲しい光景だけど、ほんとに綺麗。

そんな辛い日々の中、エレンディラは、客として来たウリセスと
出会うことで変わっていく。
愛を注がれて、その腕の中は居心地が良くて、抱き合ってるときの二人の
幸福そうな様子はこちらまで見てて微笑んでしまうくらい。
話題になっていたらしい美波ちゃんのヌードは少年ぽくて、まったく
イヤらしさがないです。
対するアッキーも中性的な少年ぽさがあるので、これまたエロさが皆無。
ラブシーンが生々しくないところが、またしても寓話的で、だからワタシは
この作品が好きなんだなぁと思う。
残酷さをオブラートで包む感じ。
そうやって包み込んでも、こんなに綺麗な恋人達の過酷な運命を思うと
綺麗なだけになおさら哀しさは伝わってくるから。

そして、エレンディラはあきらめていた自由を夢見るようになる。

と、ここまでは観た後にガーーーッと勢いで書いたんだけど、ここからは
最近ちまちま書いてました。
が、もう時間もないので(汗)はしょっていきます!

いま思い出して、美波ちゃんでいちばん印象的だったのはその表情です。
最初、おばあちゃん殺しに失敗したウリセスに向かって
「人も殺せないのね」と言い放つシーン。
ひょえーー!コワイ!
いままでキラキラした恋人同士だったのに。
あのハッキリした綺麗な顔立ちだから、きつい顔するとほんとに迫力あるわ。
すごい目ヂカラでした。

それからもう1シーン。
エレンディラが生まれて初めて海を見たとき。
手をついて客席の方向にあるはずの海に見入っている。
なんとも言えない驚きと生まれて初めて気づいた自由への憧れや恐れ。
そういうものが表情に表れていました。
舞台も客席もが静止したかのような時間が流れ、そこでおばあちゃんから
自由になりたい気落ちが一気に膨れあがっていく。
もう一度、殺そうと決心するんですね。
表情もしっかり見るべし!と友から聞いてたので、ここ以外もしっかりと
70倍(!)双眼鏡持参で表情チェック。
ありがたかった~感謝!

ウリセス役のアッキーは歌声に驚きました。
いつもの伸びのある張りのある声じゃなくて、押し殺したような声。
悲しみに満ちた声で「エレンディラに会いたい~♪」と歌ったときには
ウリセスの想いが胸にズシーンと来ましたよ。
金髪でフワフワした髪のアッキーは羽根があってもおかしくない。
エレンディラにっとっては天使だったと言われても不思議じゃない。
そんな空気がウリセスにピッタリでした。

第三幕の作家(國村隼さん)の登場は映画にはなかったことだけど
舞台ならではの演出で、いちおうの結末が見られたことは
よかったのかもしれない。
ワタシは謎は謎のままでかまわない方だけど。

おばあちゃんそっくりなエレンディラが死にかけていて、そこで
老ウリセスと再会を果たす。
ここで美しいエレンディラは年老いて祖母にそっくりになったこと、
祖母を殺したのはウリセスではなくエレンディラ自身だったとが
明らかになる。

そして、素晴らしいラストのシーン。
波を表す青い布がはためいてその波の中にエレンディラのベッドが
呑み込まれそうになり、そこに現れる青い空の幕。
その幕の向こうから現れた白い羽根を羽ばたかせる若いウリセス。
上と下で呼び合う恋人達。
一度観ただけでは何がどうなったんだかわからないくらいに呆気に
とられたシーンです。
しかも日々記憶が曖昧(汗)
もう一度、この同じ演出で観たい。
さいたま公演で降った雨や、舞台の奥行きを生かした演出が観たい!
せめて映像でもいいから観たいなあ。

美波ちゃん脱ぎすぎとか、イランイラク戦争や9.11のことまで語って
いたのにはちょっと興ざめだなあとか、そういう思いもいろいろもあるけど
もう見終わった後は全然そんなの残らない。
素晴らしいものを見た!という思いで一杯でした。
やりきった感いっぱいの俳優陣の顔や終演後の鳴りやまないスタンディング
オベーションの嵐。
なにより素晴らしいラストシーンに、ワタシまでじわーーんと来ました。
まさに「一瞬は永遠」

という、素晴らしさが文章では書き表せないのがもどかしい。
そのわりにはダラダラ書いてます。いつものことです(笑)

ウリセスの存在が実はエレンディラの想像で、白い孔雀をそう呼んでいたと
いうことだったけど、このへんはいろいろ考えてしまった。
すべてエレンディラの夢だったのか。
じゃあ、現にそこに居る翼の男の存在は?
不思議な魔力を持つというワユ族の血が流れているエレンディラとウリセス。
魂が呼び合い、不思議な魔法を起こす。
何が起こっても不思議じゃない、それがこのストーリーの魅力かもしれません。

馬や孔雀が舞台をウロウロして、大道芸人がジャグリングしながら歩いていて
アコーディオン奏者が練り歩く。
風がビュービュー吹いて、そこにナイマンの音楽が流れて幻想が広がる。
それだけでワタシは幸せになりました。
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by june-sky | 2007-10-03 22:33 | 観劇・演劇
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