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虹の空へ

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「ヴォイツェク」~アンドレース&マルグリート

「ヴォイツェク」

原作:ゲオルク・ビューヒナー
脚本:赤堀雅秋
演出:白井晃
音楽:三宅純
出演:山本耕史/マイコ/石黒英雄 良知真次/池下重大 青山草太
日比大介 駒木根隆介 加藤貴彦/半海一晃 春海四方/真行寺君枝
今村ねずみ 団時朗

東京公演:赤坂ACTシアター
2013年10月4日(金)~2013年10月14日(月・祝)
大阪公演:シアターBRAVA
2013年10月25日(金) ~27日(日)

大阪大楽から2日。

頭の中では
「うーつくしい~夢を見てた~♪」とか
「永遠は一瞬だ~~って 一瞬は永遠だ~~って♪」とか
「俺の哀れな心臓は~♪」とか
頭の中をぐるぐる回ってます。
どれも耳に残る素敵な曲。すでにもう一度観たい聴きたい。
舞台はナマモノというけれどそれはわかっているけれど
いつものことだけど映像がほしい。はぁぁぁ(ため息)

しかたがないのでせめて感想をつらつらと・・・と思っても
どうにもまとまらないので心に残った思いを思いつくまま
大阪公演を中心にちょこちょこ書いていきます。





ワタシが観たのは10/26 マチネ&ソワレ 10/27 大楽でした。
それぞれ下手前方端席と7列目センターと最前列センター。
どこでも堪能したけど1列目2列目では奥の池がまったく
見えません。東京はそれでも人は見えたけど大阪では人も
見えません。
席を潰してるのが2列だけだったので(東京では6列)
その分ステージ奥は見えなくなったんですね。
ヴォイツェクがマリーを殺すシーンなんて何が起こってんの?
って感じ。
歌いながら人を刺しても(芝居だけど)まったく音を外さない
耕史くん、さすがっす!とか、ナイフは奥の方に投げなきゃとか
水の音を聞いて東京の記憶で映像補完しましたよ。
一度しか観れなくて前方席だったら辛いなあと思いつつ、でも
こーじヴォイツェクはすぐそこで歌ったり転がったりしてるから
それはそれで嬉しいし。
7列目ではちょうど良い感じで全部見れました。

ってことで今夜はアンドレース&マルグリートのことを。

この二人はそれぞれ孤独なヴォイツェクとマリーの唯一の友人。
マルグリートは隣人でマリーとは遠慮無く罵りあったりもする
間柄だけど、マリーのことを心配もしクリスティアンの世話も
焼いてくれる。やっぱり友人だよね。
演技では蓮っ葉な口をきいても下品にならずに美しく、オーラが
半端無い真行寺さんという女優さんの格を感じました。

大阪楽の最後、マリーが居なくなってカールとふたり、遺された
クリスティアンをぎゅーっと抱きしめ頬ずりするるマルグリート。
最後だからか真行寺さんも涙ぐんでおられた。
その様子には両親を亡くした赤ん坊を慈しむ気持ちとマリーや
ヴォイツェクの死を悼む想いがあふれ出ていて、思わずこちらも
もらい泣き。
マリーにもこうして親身になってくれる隣人がいてよかったな。
この子をなんとか面倒見てくれるんじゃないのかななんて希望を
持って見ることもできました。甘いか(汗)
そういえば実際、子供はどうなったんだろう。
知りたくもあり知りたくもなし。というか知るのがコワイ。

そしてアンドレース。
大阪公演ではアンドレースの存在感が大きくなってました。
石黒くんがアンドレースになりきってたよ。
ワタシが回数見ていろいろ感じる余裕が出てきたのもあるかも
しれないけど。
でもやっぱり舞台にアンドレースが居たよ。

アンドレースはほんとに優しい。
ヴォイツェクのへんてこな話もちゃんと聞いてあげるし
まともにとりあってあげて普通に接している。
ヴォイツェクも落ち着いているときは穏やかに話もしただろうし
ちょっと風変わりだけど気のおけない仲間としてつきあって
いたのかな。

それが「俺はおまえが嫌いなんだよ」なんて面と向かって
言っちゃって。ちょっとショック。
そんなこと言わんでもーーっ。

けど、酒場でマリーと鼓手長の浮気現場を見てヴォィツェクが
錯乱して倒れた後、「ヴォイツェク ヴォイツェク」とささやく声が
アンドレースにも聞こえてしまうシーン。
ここはいままで何気なく見てたんだけど「なんでみんな
ヴォイツェクを呼ぶんだ?」とアンドレースが言うのを見て
あ、そっかと気づきました。
アンドレースには怖かったんじゃないかなと。

ヴォイツェクのあちらの世界に引きずり込まれそうな恐怖。
自分もヴォイツェクのように幽霊が見えて地の底から
声が聞こえてくるようになったらどうしよう。
そんな恐怖にとりつかれて思わず言ってしまった言葉。
「俺はおまえが嫌いなんだよ。嫌いで嫌いでたまらないんだよ」

アンドレースはそう言いながらも「なんで何も言い返さないんだ?」と
ヴォィツェクの胸ぐらを掴む勢いです。
アンドレースはヴォイツェクを正気に戻したかった。
どんどん壊れていくヴォイツェクが心配でたまらなくて、そして
怖かった。
それがものすごく伝わってきてアンドレースに共感できました。
でも、ヴォイツェクはそんなアンドレースを見ようともしない。
彼は彼でマリーを失うことの恐怖でいっぱいだったんだろうな。
せつないなあ。

そんなことがあった後でもヴォイツェクが鼓手長にボコられ
そうになると身を挺して守る。
鼓手長にすがりついて「こいつは口べたなんです!」と庇う。
ボコられ後、息も絶え絶えなヴォイツェクを必死で介抱しよう
とする。
ほんと良いヤツだ。
ヴォイツェクにもこんな友達がいて良かった。
けど、ヴォイツェクにとってはアンドレースはどんな存在だったん
だろう。それはわからない。
わからないけど、でもああして自分の話を聞いてくれた唯一の人間
だもんね。
やっぱりヴォイツェクにも友達だったんだよね。

最初の方のキノコがにょきにょきのシーンが結構好きです。
草の上を人の頭がごろごろ転がるなんていう気味の悪い話から
フリーメーソンとかとんでもなことを言い出すヴォイツェクだけど
それを一生懸命聞いてあげるアンドレースの優しさを感じるし
なによりヴォイツェクこーじの「しーーっ」の言い方が好き
←そこかよw

うん、やっぱり友達だったんだよ。

さ、今夜はここまでです。
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by june-sky | 2013-10-29 23:55 | ヴォイツェク
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