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「ブラック・スワン」

「ブラック・スワン」_c0063587_11134835.jpg「ブラック・スワン」公式サイト

原題:Black Swan
2010/アメリカ 上映時間108分
監督:ダーレン・アロノフスキー
原案:アンドレス・ハインツ
脚本:マーク・ヘイマン、アンドレス・ハインツ、
    ジョン・マクローリン
出演:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル
    ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー
    ウィノナ・ライダー





(あらすじ)
ニューヨークのバレエ団に所属するニナ(ポートマン)は、元バレリーナの母とともに、その人生のすべてをダンスに注ぎ込むように生きていた。そんなニナに「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが巡ってくるが、新人ダンサーのリリー(クニス)が現れ、ニナのライバルとなる。役を争いながらも友情を育む2人だったが、やがてニナは自らの心の闇にのみ込まれていく。(以上、エイガ・ドット・コム

古いネタが続きますが、2週間前のレディースデーに「ブラック・スワン」を観てきました。
いやぁ、面白かった!
サスペンスのような、ホラーのような、ファンタジーのような、とにかく現実的でないことが
とってもリアルに描かれていて、そこにグッと惹きつられました。
ナタリー・ポートマンの演技も素晴らしい。
アカデミー賞も納得!です。

ところどころ痛そうでまともに見られないシーンもあってヒーーーッ!って
なってたけど、それほどワタシには限界ギリギリ許容範囲。ヨカッタ。
でも、座席から飛び上がりそうなビックリシーンはあったので要注意(笑)

※ 以下、ネタバレしまくってます!そして長いです(汗)



古くは「エトワール」のようなバックステージものが大好きで
この作品でもバレリーナの日常がちょっと垣間見れる感じは
やっぱり心躍ります。
(でもバレエ映画じゃないけどね。←ココ大事!
そう思って見にいく人が居たらタイヘンw)

「ブラック・スワン」_c0063587_12484874.jpg










ナタリーもちゃんとバレリーナに見えました。
ナタリーは「レオン」の印象が強烈すぎて、なんだ綺麗すぎて
未婚の母とか演じてもイマイチ現実味のない女優さんでした。
アミダラ姫ではお人形さんみたいだったし(ま、そういう役
でもあるけれど)、でも、久しぶりに見たら、ちょっとトウが
立った美人に特有の、なんていうか凄みみたいなもんが出て
きてて、やっとリアルな普通の人に見えたような。

この作品に出るに当たってバレエの特訓を受けたそうだけど
鏡の前で姿勢を確認するときなどのポジションの美しさには
感心しました。
踊るシーンはバストアップ多用したり引きで撮ったり鏡越し
だったり。工夫してましたね。
この監督の得意な動くカメラは健在です。
リアルな雰囲気を醸し出したのは動きの激しいカメラワークの
おかげでもあるけど、ちょっと疲れます(年のせい)

で、この作品で一番ワクワクしたのが、現実と妄想の境目が
さっぱりわからなかったところ。
最初の方で「ああ、たいがいこのひとの妄想なんだ」とわかるん
だけど、でも見てる間はそれを忘れて、うっかりドキドキして
しまう。ワタシが単純すぎるのかw
終わった直後、あそこは妄想であそこは現実でと考えていました。

演出家トーマ(ヴァンサン・カッセル)の元へ主役に売り込みに
行くのは現実。主役に選ばれてトイレで泣くのも現実。
そんな稽古場の帰りにトンネルみたいなところで自分そっくりの
女性とすれ違うのは妄想。
リリーが夜にニナの家を訪れるのは現実で、そのあと飲みに出かけて
クスリでラリっちゃったのは妄想?
その後のニナとリリーの女同士のエッチシーンはもちろん妄想で。
「白鳥の湖」本番でこけちゃったのは現実で、黒い羽が生えて
きたのは妄想。
リリーを殺したのは妄想で自分を刺したのは現実。
もう見事に現実と妄想が入り交じってます。
明らかに奇怪な出来事はわかるけど、ありそうでなさそうな
曖昧な部分はよくわからなくなる。
もしかしてニナが主役に選ばれたことからすでにニナの
妄想なのかも・・・と思えてきちゃったりして。
まじでーー?ちょっとショックーーー。
そうだとしたらあんなにドキドキした甲斐がないよね(笑)

ニナは元々自傷癖のあるデリケートで優等生的なバレリーナ。
そんな彼女が主役を演じるプレッシャーに負けて現実と妄想の
区別がわからなくなっていく。
そしてそれは見てる側をもその境目のわからない不思議な世界に
自然に引きこんでいく。
これがもうほんとに自然に引きこまれるんだなあ。
そのへんが演出の巧さであり、ナタリーの演技力があったから
こそだと思います。絶賛。

そしてとヒエーーーーーッ!となった数々のホラーシーンですよ。
もうこれはほんとギリギリ。
イッパイイッパイですわw
ニナの爪のささくれが血だらけになっていてそれを無理矢理
引きちぎるように引っぺがすシーン。
ヒョエーーーーッ!痛っ!(←うっかり思い出した)
ニナのひとりエッチシーンでなあのエキセントリックな母親が
突如、片隅の椅子に座ってるシーンも。
ぎょえーーーっ!(←またうっかり思い出した)
もう心臓が止まるかと思いましたよ。
ナタリーのお尻は可愛かったですがねw
んでもって極めつけ。
引退勧告されたプリマのベス(ウィノナ)がナイフだったかで
顔をグッサグッサ突き刺しまくるシーン。
ギョエーーッ!(←またまた(ry)
ああもう無理w

そうしたコワ痛いシーンを乗り越えた後に来る素晴らしい
クライマックスシーン。
ラストの黒鳥の連続ヒェッテは息を呑みましたよ。
回るたびにニナがほんとに黒鳥になっていきます。
白鳥しか演じられないと言われたニナがやっと手に入れた妖艶な
ブラックスワン。
ほんとに全身ブラックスワン。
その変身ぶり(演技もCGも)が素晴らしくてまたゾクゾクっと。

ラストでニナは満足そうな微笑みと共に「完璧」という言葉をつぶやきます。
どうやってそんなに完璧な黒鳥になれたのか。
それは白鳥から黒鳥に衣裳替えする際に、割れた鏡で自分のお腹を刺して
いたからなんですね。ひゃーーーーっ(驚)
自分の本質とかけ離れた黒鳥を演じるためには白鳥の自分を無きものに
してしまわなければならない。だからお腹を切った。
そして、ラスト、湖に身を投げて死んでしまうオデットを演じるためには
自分も実際に死んでしまえば完璧。
そういうことなんだろうと思いました。

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ナタリー以外にも役者は揃ってます。
ヴァンサン・カッセルはメジャーでもマイナーでも悪役でもヒーローでも
いつでもどんな作品にもピッタリ収まる、味のあるフランス人俳優。
今回もイヤらしく強引で、芸術のためなら手段を選ばない、きっと言ってる
ことは正しい(やり方は別として)、そんな演出家を嫌味ったらしく(誉め言葉)
演じておりました。
ニナの母親のバーバラ・ハーシーも自分がなし得なかった夢を娘に託す、
でも、娘が自分を超えるのはフクザツ・・・みたいな屈折した内面が
にじみ出て、それがまた恐ろしい雰囲気を醸し出して。
この母親もホラー風味たっぷりでした。

そしてウィノナ・ライダーですよ。
ワタシの天使ちゃん!と思った「シザー・ハンズ」。
金髪はいまいち似合わなかったけれど、ジョニーのハサミ男との
ロマンチックシーンは夢のようでしただったし、「リアリティ・バイツ」の
ウィノナもキュートでキラキラしてて大好きでした。
あれから幾年月。いろいろありましたねぇ。。。。。。。。。。。(長っ)
今回は出てると知らなかったので、ウィノナが出てきたときはビックリ。
全盛期を過ぎたプリマがその座を追われ、でもしがみつきたい思いを
押さえきれず・・・という、せつなくなるような設定だけど、ウィノナの
強気な演技のおかげででそんなに可哀想に見えなかったのが
ヨカッタです。
ベテランプリマドンナの意地が見え隠れしてて、やっぱりウィノナは
ステキだと思いました。

直後に書いてた感想をまとめたんですが、時間が経っていろいろ
思い出しても面白い作品だなあと思います。
wowowとかで放送されたらもう一度じっくり見たい。
妄想と現実の境目はやっぱりわからないと思うけども。
by june-sky | 2011-06-07 12:50 | 映画
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